第六回 レースドッグの安息の地 今回ももうひとつ、ロンドンからの話題をお届けしましょう。英国では、ギャンブル目的のドッグレースが今も開催されていますが、そこで競争犬として使われていた犬たち、グレイハウンドやそのミックスのこと。
世界のペット事情
第六回 レースドッグの安息の地
今回ももうひとつ、ロンドンからの話題をお届けしましょう。英国では、ギャンブル目的のドッグレースが今も開催されていますが、そこで競争犬として使われていた犬たち、グレイハウンドやそのミックスのこと。
レースといえばグレイハウンドというイメージで、とにかく「速い犬」として知られていますが、人間のギャンブルの楽しみのために働かされる生活は決して幸せではないようです。中には虐待を受ける犬もいるらしく、そのため競争犬たちの引退後のケアをしている団体もあり、またそうした犬たちを引き取って家庭犬として飼っている人もいます。

たとえば、ロンドンの高級住宅地に建つとあるB&B(ベッド・アンド・ブレックファースト=宿泊施設)。ここでは、2頭の元レースドッグがゆったりとその引退生活を送っています。ゆったりとはいってもやはり訳あって宿のご主人の元へやってきた犬たち。とくに2頭のうちグレイハウンド×ポインターのグレイスは、前の主人に過酷な扱いを受けたためか足やシッポにケガの跡があり、引き取った当初は人間そのものを怖がっていたといいます。たっぷりの愛情と落ち着いた環境のおかげで、傷ついた心もいやされたのでしょう。やがて朝のダイニングで宿泊客に挨拶する仕事がお気に入りになったとか。
もともとグレイハウンドは、ずばぬけた速さを誇るサイスハウンドでありながら、家庭ではもの静かで繊細、マナーの良いパートナーになるといわれます。写真のようにエレガントなインテリアでごろんとつくろいでいるのが、本来の姿なのかもしれません。
犬たちに惜しみない愛情と献身を注ぐ人たちがいる一方、これほど動物愛護が叫ばれる国ながらまだまだ過酷な生活を送る犬がいる。以前ご紹介したクラフト(ドッグショー)の問題はとまた別な、愛犬大国英国のちょっと複雑な一面を感じさせられる、グレイハウンドたちの境遇です。
過酷なレース犬として暮らした後、温かい飼い主のもとに引き取られたグレイハウンドのミックス。現在はゆったりと余生と送っています。
文:山喜多佐知子 ・ 撮影:武井哲史










